扇屋(東京都北区)

JR王子駅前にある音無川(石神井川)沿いの桜は今回の東京散策時すでに満開で、飛鳥山公園から川沿いを通って行き来をする花見の客でごった返していた。7〜8年前に訪れた時もほぼこの時期で昼から出来上がった客でいっぱいの中を飛鳥山公園前で王子稲荷の場所が分からず右往左往しミ二パトの婦警さんに道を尋ねても分からない、近くに交番があるからといわれ、交番に行っても警官は不在と酷い目にあった場所であるが(笑)、さすがに1度訪問してるだけに今回は問題なく散策できた。

王子と言えば扇屋である。創業は慶安元(1648)年に掛茶屋として始まり、江戸時代中期にはすでに名の通った料亭であった。また江戸落語『王子の狐』の舞台となった店としても有名である。
王子は王子稲荷や王子神社の門前町として、また元来避暑地であり八代将軍吉宗が飛鳥山を桜の名所としてからは花見など数多くの物見遊山客で賑わった場所であった。さらに日光街道沿いであり参勤交代で江戸へ入る家、逆に国許へ帰る家でこのいったいはごった返していた。そういう場所には自ずと茶店、そして料理屋が立つ。そのため扇屋は参勤交代中の各大名の休憩処として利用され、当時卵がとてつもなく高価だった時代に大名に釜焼き玉子を供していたと言う。
明治に入ってからも明治天皇が2度来訪したという名料亭も時代の波には勝てず平成の時代に入って料亭を廃業し、自社ビル前にて名物である玉子焼きのみを細々ながらもしっかりと守り通っている。ただあまりに小さな露店のような店舗には驚かされた。釜焼き玉子は江戸時代から受け継がれる製法をほぼ忠実に守られていると言う(要予約)。
今回はどういうわけだかお店の方がおられず残念ながら玉子焼きの写真はないが(購入しようとしていたご婦人も困惑されていた)、普通の玉子焼きは日本橋と新宿の高島屋でも購入可能で、やや甘い風味である。以前に宮崎県飫肥の間瀬田厚焼本舗でも触れたが、江戸時代の玉子焼きは恐らく甘めの風味だったのだろう。
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